Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香川 靖雄 自治医科大学, 医学部生化学, 教授 (30048962)
垂井 清一郎 大阪大学, 医学部第三内科, 教授 (00028341)
河合 忠一 京都大学, 医学部第三内科, 教授 (70025659)
赤沼 安夫 朝日生命, 糖尿病研究所, 所長 (00010398)
脊山 洋右 東京大学, 医学部栄養学, 教授 (90010082)
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Budget Amount *help |
¥18,000,000 (Direct Cost: ¥18,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥18,000,000 (Direct Cost: ¥18,000,000)
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Research Abstract |
従来, 抗動脈硬化作用を有すると考えられてきたHDLの役割として, HDLが組織のコレステロールを取り込み, 肝臓に転送する機構が脂質蓄積を病因とする動脈硬化などの防御に最も重要であるとの認識がある. しかし, HDLが高値を示しながら, 動脈硬化性疾患や角膜混濁などの脂質蓄積を来す症例が発見されたことから, HDLから大粒子LDLやVLDLへコレステロールを転送する反応を媒介する蛋白質の重要性が示唆された. また, 動脈組織内には, 血清中の約1/10の濃度のLDL, 約1/50の濃度のHDLが存在していることが明らかにされ, さらに, HDL-レセプターのリポ蛋白質結合後の動態が末梢組織の細胞と肝細胞で異なることが指摘されたことにより, 今後, HDLの異なる組織における作用機作の解析が重要性を増すと思われる. 高コレステロール食で飼育したラットより得られたVLDL, LDLは肺胞マクロファージの泡沫化を著名に促進し, 培養液中へのリポ蛋白質リパーゼの分泌も亢進するが,この作用によりリポ蛋白質の取り込みと細胞内の脂質蓄積が重要との指摘が成され, 虚血性心疾患患者のリスクファクターの1つとして明らかにされているアポE変異との関連も指摘された. この知見は, 粥状動脈硬化発症時に内皮直下に出現する泡沫細胞形成過程に重要であると思われる. 泡沫細胞の由来はマクロファージであることが班員によって明らかにされているところであるが, 家族性高コレステロール血症のモデル動物WHHLウサギを用い, 血中に上昇したVLDL, LDLがマクロファージに取り込まれる際の機構の一部が明らかにされた. VLDLはマクロファージのβ-VLDL受容体を介して取り込まれ, LDLは受容体介在エンドサイトーシスによるスキャベンジャー経路で取り込まれる. 注目すべき知見は, LDLはそのままではマクロファージによって認識されないが, 酸化されると取り込まれるという発見である. すなわち, LDLの酸化は泡沫化を律速することを意味している.
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