Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
内皮細胞や平滑筋細胞の細胞集団としての特徴, 配列様式と血流や血管壁にかかる張力との関係を動物実験を通して明らかにすると同時に, 血管壁内の物質輸送, 変性, 動脈硬化症発生機序等を攻究するための基礎的研究を行った. 研究の手段として性質の異なる特殊な人工血管を作成し, 特殊環境下における内皮細胞や平滑筋細胞の挙動, 新しく形成される血管壁の代謝を検討し, 合せてin vivoでの研究のモデル作成の基礎的資料を得た. 方法:人工血管が生体内に植え込まれると, 平滑筋細胞や内皮細胞, 線維芽細胞が出現しこれらの細胞は膠原線維や弾性線維を産生し, ここに細血管が栄養血管として侵入し, あたかも平常の血管壁の如き新しい血管壁が形成ささる. これは血管壁修復の過程でもあり, 血管壁新生の過程でもある. この血管壁新生というin vivoにおける過程を(a)布製人工血管, (b)バイオマトリックス人工血管の2つを用いて動物に植え込み, それぞれの環境下での血管壁形成の特徴を観察した. 結果:布製人工血管では, 前述の過程を経て血管壁形成が行われるが, 用いる人工血管布の織り方が密であれば, 新生血管壁に石灰化や退行性変性, 潰瘍, 壁の脱落等が生じやすいことが判明した. これは布の織りの網目を通る代謝経路の形成不全によるものと考えられ, 一般の動脈硬化症における変性に酷似していることから, 動脈硬化症発生の研究モデルとしての良い研究手段となると思われる. 一方, バイオマトリックス人工血管においては, 動物の血管壁から細胞成分を破壊, 脱落させ, 膠原線維や弾性線維のみからなる天然血管壁由来の特殊な人工血管であるが, これが植え込まれると, 宿主の線維芽細胞や平滑筋細胞が壁内に侵入し, 内表面を内皮細胞が覆って, 天然の血管壁と全く同じ構造の血管壁を作りあげた. これは血管壁形成においてそのマトリックスが細胞新生に大きな影響を与えることを示していると思われる.
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