Research Abstract |
1.Ce_<0.99>La_<0.01>B_6の多結晶試料を作製し, これに原子炉で中性子を照射して, ^<139>La(nγ)反応により半減期40.3時間の親核^<MO>Laを結晶中に生成させ, この^<140>Laがβ崩壊してできる140^<140>Ceの2083KeV励起状態を中間状態とするγ線摂動角相関(PAC)を, 京大原子炉実験所の4カウンターPAC測定システムを用いて測定した. 液体窒素温度での測定より, 角相関は, Ce4fスピンの常磁性スピン緩和によると考えられる指数函数型の減衰を示すことが明らかになった. Ce3価のOrbital Hyperfine Fieldを0.95MOeを1μ_Bとすると, この減衰定数よりCeの4fモーメントの緩和率は温度に直して約13kと評価される. これは以前の中性子準弾性散乱の結果ともよく一致しており, 上記考えの妥当性を支持している. なお以上の実験から, 中性子の照射に伴い, ^<142>Ceが放射化して^<143>Ceが生成し, スペクトロメーターの分解能との関係でこの^<143>Ceの放出するγ線が大きなbackground noiseとなることが判明した. 2.上記の問題を解決するため, ^<140>Ceを濃縮した^<140>CeO_2(アメリカ, オークリッジ国立研究所製)を原料に用いて試料を作製し, 同様の実験を行なった. 濃縮前の原料に含まれており, ^<140>CeO_2を濃縮する過程で同時に濃縮されたと考えられる極く微量(推定約0.05%)の^<151>Eu等が, その極めて大きい放射化断面積のゆえに中性子の照射によって新たなbackground noise源となることが判明した. しかしこの問題は, 照射後1週間程経過すれば半減期の違いにより自然に解決されることが, 実際の測定より明らかになった. 3.予測していなかった上記の困難と, 実験を他大学の研究所の共同利用に依存しているという制約のために, 4重極秩序を検証するためのヘリウム温度領域での測定には到らなかった. 今後は, 今回の成果をもとに長時間の照射後1週間程放置して, background noiseが少なくしかも線源は十分に強い状態で測定することを計画している.
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