金属錯体を用いた光増感電子移動反応における高速逆電子移動の抑制
Project/Area Number |
62213022
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大野 健 大阪大学, 教養部, 教授 (10029697)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 彰雄 大阪大学, 教養部, 助手 (00029737)
|
Project Period (FY) |
1986 – 1987
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1987)
|
Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | 金属錯体の光化学 / 電子移動反応 / 励起三重項状態 |
Research Abstract |
りん光状態は電子のドナーやアクセプターと電子移動反応を行ない, 溶媒篭内にジェミナト・ラジカル対が生成する. この対内で逆向き電子移動反応が起こると対解離で生じるフリー・ラジカルの生成が抑えられる. ところが, 逆向き電子移動反応はスピン禁制過程であるためにその速度は小さい. つまり, ジェミナト・ラジカル対のスピン多重度(多くはS=1)から元の反応分子のスピン多重度(S=0)に変わらなければならない. このスピン変換電子移動反応を抑える方策を検討することが本年度の目標であった. 第1の方策は逆電子移動反応のフランク・コンドン因子を小さくすること, 第2の方策はスピン反転を引き起こすスピン軌道結合の抑制である. 各種Ru(II)錯体のりん光状態は芳香族アミン, フェノール類, メトキシベンゼン類によってその配位子が還元される. 配位子のアニオン・ラジカル(もしくはアミンのカチオン・ラジカル)の生成は逆反応のΔG°が-1.7CVより負になると減少する. これは, 逆向き電子移動反応のフランク・コンドン因子の減少によると解される. 配位子が4,4′-ジカルボエトキシー2,2′-ビピリジンや2,2′-ビピラジンの時にはフランク・コンドン因子とΔG°の相関が弱くなる. 後2者では, 同時に逆向き電子移動反応がおそくなる. 一方, Ru(II)錯体のりん光状態はキノン, メチルビィオローゲン等によって金属イオンが酸化される. この場合, 逆向き電子移動反応の速度は速くΔG°依存性は弱い. 以上の結果から次の2つの結論が導かれる. (1)Ru(III)錯体ではスピン軌道結合が強いが, Ru(II)錯体では弱い. (2)逆電子移動反応が電荷再結合反応である場合はフランク・コンドン因子がエネルギー差(ΔG°)に強く依存する.
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)