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¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
近年, 遺伝子操作の手法によりいずれも糖タンパクであるα_2β_1γ_1δ_14種のサブユニットよりなるニコチン性アセチルコリン受容体(AChR)の一次構造が明らかにされている. しかしそれらの糖鎖構造はこれまで全く不明であった. 最近, シビレエイのAChRのαサブユニットの糖鎖結合部位と考えられているAsn141をAspに変換させたAChRでは, AChRとしての機能が失われることから, 糖鎖の重要性が示唆されていた. また, 重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)患者の血中には糖鎖あるいはその近傍を認識する抗体が存在することが知られており, 糖鎖がMGの発症に何らかの形で関与していることも考えられていた. そこで申請者らは, AChRの糖鎖の構造やAChRの糖鎖の化学的酵素的修飾, さらに糖質の添加がAChRへの神経毒の結合にどのような影響を与えるかなどについて検討し, 以下に示すいくつかの新しい知見を得た. (1)世界に先がけて神経伝達物質の受容体であるAChRの糖鎖構造をはじめて明らかにすることに成功した. (2)従来シビレエイのAChRの糖鎖中にはグルコースやO-グリコシド型糖鎖が存在することが報告されていた. しかしこれらの糖や構造は存在しないことが明らかとなった. (3)AChR分子中にはコンプレックス型の糖鎖が複数個存在することや, その糖鎖の構造が既知の糖鎖と対応しないものがあることがわかったが, これらの糖鎖の構造の解明は今後の興味ある研究課題である. (4)AChRの単量体はα_2βγδから成りαサブユニットが2個含まれるがこれらのαサブユニットの糖鎖構造は相互に異なっているか, あるいは一方のサブユニットには糖鎖は存在しないとする報告があった. しかし今回我々が得た研究成果からはそれらの考え方はすべて否定的であった. (5)AChRのシアル酸はヘビ神経毒との結合に必要でないことがわかった. しかしAChの結合の調節に機能している可能性も考えられ, 今後の面白い研究課題と考えている.
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