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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
現在全く不明の, オピオイド受容体系でのトランスメンブレンコントロールの解明を目指し, エンケファリン類と親和性基とするアフィニティクロマトグラフィー法を用いて, オピオイドー結合物質(受容体)を精製し, 更に精製受容体を抑制性GTP結合タンパク質(Gi)と共にリポソーム膜に再構成し, そのアゴニスト結合能について検討を加え, 以下の結果を得た. 1.アフィニティHPLCを用いた受容体の精製(Peptide Chemistry):Tyr-D-Ala-Gly-Phe-Leuを受容体に対する親和性基としたアフィニティHPLC用ゲルを開発した. このゲルを用いて, ラット脳より界面活性剤にて可溶化した受容体粗分画からオピオイド結合能を有する部分精製標品を得た. 電気泳動的による分析では, 数本のバンドが観測されたため, 更に本標品をサイズ排除HPLCにて精製し, 電気泳動的に単一な, 分子量62,000のバンドを得た. 2.精製受容体のリポソーム膜への再構成(生化学;投稿準備中):精製受容体を精製Giの存在下, または非存在下にリポソーム膜に再構成し, S-アゴニストとして知られる^3H-DADLEをラジオリガンドとして用いたラジオレセプターアッセイにより, リガンド結合能を測定した. その結果, 精製受容体をGiの存在下でリポソーム膜に再構成した場合には, 高親和性と低親和性の二相性の応答が見られたが, Gi非存在下では低親和性の応答のみが観測された. 更に, Giと連関した受容体系で一般に見られるように, Gi共存下での再構成系において観測される高親和性の成分が, グアニンヌクレオチド類の添加によって低親和性へ移行することも確認された. 本実験の結果より, 我々の用いた精製標品が単なるオピオイド結合物質ではなく, オピオイド受容体そのものであり, しかも得られた受容体は, S-タイプであることが明らかとなった. また細胞膜中と同様に, S-タイプのオピオイド受容体がGiと連関し得ることを精製受容体を用いて初めて示した.
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