Project/Area Number |
62215030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
池本 勲 東京都立大学, 理学部, 教授 (00011601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 一弥 東京都立大学, 理学部, 助手 (30195979)
菊地 耕一 東京都立大学, 理学部, 助手 (40177796)
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Project Period (FY) |
1987
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1987)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 有機金属化合物 / 電気伝導 / X線吸収スペクトル / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
高伝導性有機金属化合物錯体の開発をめざし, Ni(dmit)_2の錯体の合成およびその電子状態と電気物性の解明を行った. HMTSFとの錯体では通常の物質のように, 圧力とともに抵抗は減少するが, HMTTeFとの錯体では圧力を増すとともに抵抗が増大した. 両錯体とも半導体的温度変化を示し, 圧力の増加に伴い活性化エネルギーも大きくなった. Ni(dmit)_2錯体の超伝導体の転移温度の圧力依存性はほかの有機超伝導体と逆であることと, 今回見いだした逆の圧力依存性との関連は興味深く, 両錯体の構造と伝導度の圧力依存性の関連について検討中である. 一方M(dmit)_2が電気伝導に関与する時, 中心金属が伝導に寄与するか, まわりの有機部が寄与するか調べることは伝導機構を解明するために重要である. そのためab intio SCF分子軌道計算を行った. 各酸化数での電荷分布から, 酸化数が変化してもNi上の電荷分布は, ほとんど変化せず, 酸化数が0から-2に変化しても, わずかに電荷が0.04減少するにすぎないことがわかった. この結果はこれまでの実験結果とよく対応している. 電荷分布の変化は硫黄原子に大きく現れることも明らかになった. Ni(dmit)_2や類似化合物であるNi(mnt)_2では酸化数の変化に伴い大きな変化が見られる原子は硫黄である. 硫黄原子は炭素原子などと異なり, 浅いレベルに軌道の広がりが大きいd軌道をもつ. この軌道が電気伝導に寄与するかどうか調べることはこのような錯体における伝導機構およびカルコゲン原子を含む有機伝導体の伝導機構を解明するためにも重要である. Ni(mnt)_2錯体の硫黄原子の電子状態を内殻励起吸収スペクトルを測定し調べた. その結果Ni(mnt)_2のHOMOに硫黄原子の寄与がほとんどないことが明らかになった. したがって電気伝導にも硫黄原子のd軌道はほとんど関与しないことがわかった.
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)