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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
細胞表層には糖抗原, ポリン, 膜結合タンパクなどの生体識別素子が局在しており, それぞれ抗体, イオン, 糖や各種タンパクを選択的に識別することができる. 本年度は, このような細胞表層の識別素子を細胞-電極間の反応と組み合わせ, 細胞表層膜結合タンパクを利用したアレルゲン識別センサーの開発を行った. IgEレセプターを有する好塩基球を識別素子として用い, IgEとアレルゲンの結合反応を電気信号として捕らえることで, アレルゲンの検出を検討した. 好塩基球(RBL-1)は90%MEM-Earle, 10%FBS培地を用い, 5%CO_2, 37゜Cで培養を行った. 細胞は洗浄液, 細胞数5×10^5ceils/mlに懸濁し, これに各種アレルゲン抽出液のタンパク, マウスIgEをそれぞれ加え37゜Cに保った. 2時間後メンブランフィルター上に吸着固定した細胞をB.P.G.電極表面に接触させて作用極とし, 白金線を対極, 飽和甘コウ電極(SCE)を参照極に用いてサイクリックボルタメトリーを行った. そして, ピーク電流値の変化からIgEに対応したアレルゲンを決定した. その結果, RBL-1細胞のサイクリックボルタモグラムには0.34〜0.35Vvs, SCEと0.68〜0.70Vvs, SCE付近に特異的な酸化波が存在した. 特に0.34/0.35Vvs, SCEのピーク電流はRBL-1細胞独特のものであった. そこで, 超音波破砕した細胞の抽出液, 細胞から取り出した顆粒や顆粒内成分の1つであるセロトニン溶液のサイクリックボルタメトリーを行ったところ, それぞれのピーク電位はRBL-1細胞由来のものとほぼ等しい値であった. また, 細胞抽出液中にセロトニンが含まれていた. これにより, RBL-1細胞から得られたピーク電流はセロトニンに起因していると推察された. 脱顆粒をおこした細胞のセロトニン含量とピーク電流値の関係を調べたところ, ピーク電流値の減少量は脱顆粒の程度と相関関係を示した. 以上のことより, アレルギー反応をピーク電流値の減少として計測可能であることが明らかになった.
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