Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本研究は, 細胞膜類似機能をもつ人工の二分子膜組織体を材料として用い全く新しいタイプの化学センサを開発することを目的として行ったものである. ここでは, 化学受容により誘起される二分子膜の物理化学的な特性変化を, 二次信号(電気化学的あるいは光学的信号)に情報変換し, 検知するという基本概念に基づいた化学センサ構築のための基礎研究を行った. (1)イオン・分子を認識する人工二分子膜の設計とセンサへの応用 二分子膜に取り込まれたレセプター分子と化学物質との特異的な相互作用がおこれば, 膜の組成分布あるいは膜流動性の変化が生じる. これに伴い, 二分子膜の発色団間の励起子相互作用が緩和され, スペクトル変化となってあらわれる. 本年度は, レセプターとして種々のクラウンエーテル, クリプトフィックスなどを用い, 提案した原理によって, アルカリ金属イオンが検出できることを見出した. また同様の原理によって, アルコール類をセンシングできることがわかった. (2)二分子膜修飾電極の交流電気化学特性 二分子膜の物理化学的変化を電気信号に変換する分子膜インターフェイスの作製を目的として, まず二分子膜修飾電極を作製した. ポリイオンコンプレックス型の二分子膜を白金電極上に修飾し, これらの交流電気化学特性をインピーダンスアナライザを用いて評価したところ, キャパシタンスあるいはインピーダンスが, 二分子膜の相転移により急激に変化することが見出された. このことは, 二分子膜の基本特性である構造転移を電気信号に変換できることを示しており, 上述の分子膜インターフェイス作製に対して重要な意味をもつものである.
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