Research Abstract |
昨年, 落花生種子の肥大・成熟期以降, 莱実部に光を照射すると, 脂質含量が低下し, 種子の成熟が抑制された. 本年度は脂質の組成および脂肪酸組成に及ぼす光の影響を明らかにすると共に, 莱実部への内生物質の供給が莱実の生育にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った. 1.脂質組成および脂肪酸組成に及ぼす光の影響 種々な光を30日目から照射した種子から脂質を抽出し, 脂質をTG, DG, MG, FA, リン脂質(PL)に分離し, TG, DG, FAの脂肪酸組成を高速液クロにより測定した. 光を照射しなかった種子の脂質はTG=94.5%, DG=3%, FA=0.4%であったが, 「明」はTGが減少し, DG, FAが増加した. 一方脂肪酸組成についてみると, どの光を照射した種子でも, TG, DGともオレイン酸が増加し, リノール酸が減少した. またFAではリノール酸が減少し, 飽和脂肪酸が増加した. 2.莱実の成育に及ぼす内生物質の影響 子房柄が地中に入る直前, 地中に浸入後, 1および2週目に地中から取り出し, GA, IAA, ABA, サイトカイニンを(5〜10ppm)入れた透明な容器に導入し, 容器を透明なフィルムおよびアルミホイルで覆い, 1週間おきに取り出して莱の長さを測定した. 明条件下で來実部に内生物質を供給しても, 來の肥大はほとんどみられず, 枯死するものが多かった. 暗条件下では, 子房柄が地中にはいる前にポットに誘導した区では, サイトカイニンを除き, いずれも子房柄の先端部の肥大は生じなかった. 子房柄が地中に浸入後, 1週目に地中から取り出したものでは, GAは來の肥大を促進したが, 他の内生物質では促進効果は認められなかった. これは子房柄の先端の肥大にサイトカイニン関与が推定された. 次年度は, 來実部に光の種類をかえて照射し, 來の糖成分, 種子の脂質生成機構について大豆と比較検討を行う.
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