Research Abstract |
秋田県に存在するクラウンゴールを採取し,その懸濁液を作り選択培地にまいた. 得られた約90種の菌株のうち, 広宿主域を示すものは19種で, これらについてAgrobacteriumに特異的とされる性質を調べた. Biotypeは1, 2, および3であり, Cpine利用能はOctopine型一種で他はすべてNopaline型であった. 各菌株の持つプラスミドの総数は3ないし4で, そのうちTiプラスミドの大きさは約200kbあるいは300kbであった. これらの性質に基づき菌株はポプラから得られたP022, P028, P031, P0201, ナシからはPyTS3, PyTE1, リンゴからはAkE10に代表されるグループに分類できた. 総プラスミドを制限酵素で切断し, 得られたDNA断片について, 既に構造の知られたpTiT37のT-DNAをプローブとしてサザンハイブリダイゼーションを行なった. その結果, 既知のものと同じ大きさのDNA断片および異なる断片にハイブリダイズすることが見出された. さらにこれら異なる断片の大きさもT:プラスミド間で違いが見られた. 全体として植物ホルモン遺伝子を含む領域の構造は保持され, それ以外の部位に違いが見られた. 一つ例外はAkE10であり, ホルモン遺伝子部位も変っていることが示唆された. 次に, 得られた菌株の植物への感染実験を行なった. ペチュニアの茎に菌を植えつけ, 3か月後, ゴール形成を観察した. その結果, P031, P0201, PyTE1, PyTS3では大きなゴールが形成されたのに対し, P022, P028, およびAkE10では小さなゴールしか作らなかった. このような大小のゴール形成, およびホルモンレベルとT-DNAの多様な構造との因果関係を知るためにT-DNAの分離, 改変およびそのクローンを用いての植物の形質転換を行なって行く予定である.
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