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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
大腸菌の代謝調節因子の一つとして転写開始の調節による酸素合成の制御がある. 調節蛋白の一つCAMP受容蛋白質(CRP)は単独ではDNAと特異的な結合はしないが, CAMPを取り込むとDNAの特定部位と結合し, RNA合成酵素の働きを制御する. CAMP-CRP複合体がどのようにしてDNA塩基配列を認識するかを理解する上で, CAMP-CRP-DNA結合体の立体構造を知ることは重要である. 本研究では, 円偏光二色性と紫外共鳴ラマンを含むラマン分光法によりCRPとDNAとの相互作用を研究することを目的としている. 本年度はCRPの精製, DNA22マーの合成, CDスペクトルの測定を行った. また, 蛋白-核酸相互作用を理解する上での基礎として, オリゴペプチドLys-Trp-Lys, Lys-Tyr-Lysとポリアデニル酸, ポリ(dA-dT)との複合体のラマンスペクトルを測定し解析した. CRPは大腸菌より単離・精製した. DNA22マーは液相法により合成した. DNA22マーは二重鎖B型構造をとることをCDスペクトルにより確認した. これに, CAMPをとり込んだCRPを加えると複合体を形成し, DNAの構造は一部C型に変化することが明らかとなった. Lys-Trp-LysとLys-Tyr-Lysは, ポリアデニル酸やポリ(dA-dT)と水素結合やスタッキングにより複合体を形成する. Lys-Tyr-Lysでは強い水素結合が複合体形成の主要因であるがLys-Trp-Lysでは, Trpのインドール環とアデニン環とのスタッキングも起こっている. このような, アミノ酸側鎖と核酸塩基の選択的相互作用の組み合せ, 積み重ねにより特定の蛋白によるDNA特定部位の認識が可能となると考えられ, 今後さらにくわしい検討を行う予定である.
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