Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
1.失語症の回復過程において重要な役割を果すと考えられる右大脳半球の能力についての解析を行うことを目的として, 局所能損傷患者における視空間認知能力の障害につき検討した. 視空間認知障害として頻度の高い半側空間無視をとりあげ, まず, 半側空間無視という現象が, 図の識別障害なのか, 図を描く構成行為の障害なのかを, タキストスコープを用いた対応テストにて検討した結果, 半側空間無視は図形の識別過程の障害によるものであることが判明した. 次いで, 半側空間無視と視野障害との関係につき検討を加え無視側と反対側の視野内においても無視現象の見られることを明らかにした. このことから, 半側空間無視は視野障害の結果として生じるものではないことが結論された. この問題については今後更に検討を加え, 右半球における情報処理機構の特性を明らかにしたいと考えている. 2.失語症患者の呈する言語機能障害と, その原因となった責任病巣との間の対応研究としては, 従来, 多数例のCTスキャン上の病巣の重ね合わせにより病像と病巣の対応を検索する手法が用いられてきたが, われわれは, 局所性小病巣により失語を生じた患者において観察された所見をもとにして, 言語活動に関与する脳内神経機構の局在を検討してきた. その結果, ウェルニケ領域を中心とする後方言語野における機能局在を明らかにし, 神経機構のモデル化を行うことができるようになった. 今後は, これらの領域の細胞構築学的検討を行っていきたいと考えている.
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