Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
GABA, カテコールアミン及びアセチルコリンは, すべて, いわゆる古典的伝達物質であり, その中枢神経系における分布, 機能については, 数多くの研究がなされている. これらは, 従来, 相互作用はあるものの独立した系として考えられてきた. しかし, 今回, 免疫組織化学的に検討した結果, ラットの中枢神経系のかなりの部位で, GABAニューロンが同時にカテコールアミンニューロンあるいはアセチルコリンニューロンである場合があることが判明した. 更に, このような古典的伝達物質の共存関係は発生過程で変化しうるかどうかの検討を, 嗅球におけるGABAとカテコールアミンの共存関係に焦点を絞って行なった. 嗅球においては成体ではカテコールアミンニューロンの約88%が同時にGABAニューロンであり, 残りの約12%がGABA形質を示さない. しかしながら, 生後発生を見ると, 生後約1週まではカテコールアミンニューロンはすべてGABA形質を示し, 2〜3週目でカテコールアミンニューロンの約5%がGABA形質を示していないことが明らかとなった. 一方, 細胞学的特徴よりGABA形質を示さないカテコールアミンニューロンは生後遅く発生するのではなく, 出生前にすでに発生しているニューロンに相当していると考えられる. 従って, このような結果は, GABA+カテコールアミンニューロンが, 発生過程において, GABA形質のみを失ったという伝達物質発現の発生過程における可塑的変化の可能性を示唆している. 更に, 成体においても, 共存しているカテコールアミン形質とGABA形質はそのニューロンへの入力によって, 各々が異なった発現の制御を受けている可能性が, 嗅球における機能的入力除去実験によって示唆された.
|