遺伝性歩行異常マウス(Reeler)の大脳皮質血管網形成異常
Project/Area Number |
62222009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
星野 清 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (70023653)
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Project Period (FY) |
1987
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1987)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | Reelerマウス / 大脳皮質血管網 / 大脳皮質組織発生 / 血管標本 |
Research Abstract |
〔目的と背景〕大脳皮質の血管網形成は, 神経細胞の産生・遊走・皮質原基の形成といった皮質組織発生の中で行われ, その基本的パターンはヒトでは胎生期に完成することが知られている. 本研究では, 変異遺伝子によって皮質構築の異常を来すマウスをモデルとして, 皮質血管網の形成異常を観察することにより, 血管網形成のメカニズムを探ることを目的とする. 遺伝性歩行異常マウス(Reeler)では, ホモ個体は生後2週頃に発症して4週までに死亡する. 発症以前(胎仔期および乳仔期)にReelerの遺伝子型を区別するため, 同一染色体上でReelerと近接して存在するHammer-toe遺伝子を利用する. Hammer-toeは指奇形を発現し, 胎生15日以後では外形観察によって, ホモ, ヘテロ, 正常の各遺伝子型を区別することが出来る. 〔方法〕Hammer-toe, Reeler共にヘテロの雌雄を交配した. 胎生11日から生後3週までの胎仔および乳仔の左心室よりロットリングインクとゼラチン混合液を注入し, 冷やしたブアン液に固定した. 固定脳を大脳縦裂で二分し, 一方からビブラトームで120〜300μmの厚切り切片を作製し, 透徹して血管標本とした. 他方の脳はパラプラストに包埋し, H.E染色標本を作製した. 〔結果と考察〕皮質血管網パターンがほぼ完成する生後3週のReelerマウスでは, 皮質を貫通して髓質に達する太い血管は正常と同様に軟膜に垂直に走行していたが, 皮質内に分布する血管の殆どは不規則に斜走, 分岐し, 正常脳にみられる規則的な柵状パターンは観察されなかった. この異常パターンは, 胎生末期から新生仔期にかけて皮質内に進入する血管の増生に伴なって明瞭になっていった. Reelerマウスの大脳では, 皮質分子層が欠如し, 層構造の逆転があること, さらに皮質内で神経線維束が斜走することにより二次的に形成されると考えられる.
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)