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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
α受容体を介する血管平滑筋の速い収縮は, G蛋白質の活性化に続いて起るIP_3の合成, 筋小胞体からのCa遊離, ミオシンのリン酸化等, 数段階の過程を経て引き起されていると考えられている. 事実, αアゴニストにより血管平滑筋の収縮には刺激から収縮発生までに秒単位の潜伏期がある. αアゴニストの濃度増加と共にその潜伏期は減少し, 一定の値になった. 20°Cではモルモット門脈の場合約0.7秒, ウサギ肺動脈の場合約2秒であった. この値はアゴニストの種類によって変化せず, またアゴニスト投与時のCaやK濃度にも依存しなかった. 所が, 細胞にCaを負荷するか否かによって, 潜伏期は有意に変化した. 例えば門脈においてはCa負荷条件の場合0.6秒であった潜伏期が, Ca涸渇条件では約1秒にまで延びた. これは筋小胞体からのCa遊離後, すなわち細胞内Ca増加後にかなり大きな律速段階があることを示す. この潜伏期のQ_<10>は, 20-30°Cの間で約3.5, 30-37°Cの間では2以下であった. この傾向は門脈, 肺動脈ともにあった. また電気刺激による門脈の単収縮の潜伏期の温度特性も30°C附近に屈曲点を持っていた. 以上の結果は直径100μm以下の細い平滑筋線維束を用いて, 2種類の濃度クランプ法により得られたものであるが, 拡散の問題を完全に除くことはできない. そこでcagedフエニレフリンを用いて50n秒のレーザーパルスを与え, 約5μMのアゴニストをほぼ瞬間的に遊離させた. しかし結果はほとんど同じであった. また, cagedIP_3によるskinned fiberの収縮の潜伏期は生筋の場合の約3分の1であった. 以上のことからαアゴニストによる収縮の潜伏期は, 濃度依存的であり, その半分以上が受容体との結合からIP_3合成までの間で生じたものであることも明らかとなった.
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