Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 亨 東京大学, 医学部, 助手 (80174936)
山崎 喜比古 東京大学, 医学部, 助手 (10174666)
宗像 恒次 国立精神神経センター, 精神保健研究所・社会文化研究室, 室長 (90132878)
川田 智恵子 東京大学, 医学部, 講師 (60010013)
山手 茂 茨城大学, 人文学部, 教授 (60073061)
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Research Abstract |
セルフ・ケアという言葉の用法としては, 大別して, 「米国を中心に盛んになってきている. 専門的な医療を拒否して一般の人々が自己治療を行うという市民運動の流れのなかで用いられている概念」と, 「その反対の極には, 患者が医療従事者の指示に従って自己管理を行うというコンプライアンスと同様の意味のものもある」が, 本報告中での宗像論文では, 第3の定義として, 「人々が自らの健康問題を自らの利用しうるケア資源(家族ケアや専門家ケアを含む)を活用して解決しようとする保健行動であり, その解決のためには自己イニシアチブ(自己判断や実行力)に依拠した行動をとる」という保健行動モデルを提示した. 園田論文では, 一般の人々の個々バラバラな形での自己療法や健康増進への取り組みが, 商業主義や心理産業などの標的ともなってきている現実を指摘し, それらとの対比として, 近年日本でも広がりをみせてきている消費生活協同組合, とりわけ医療生協を中心とした組織的な健康への対応を取りあげている. 他方, 吉田論文は, 30年近い歴史をもつ糖尿病患者会での患者同士の学習や患者会活動を分析し, それらをふまえて, 日本での取り組みでは糖尿病専門医のバックアップが不可欠であることを強調している. また, 山崎・武田論文では, 職域におけるセルフ・ケアとして, 中高年齢労働者健康づくりプログラムを取り上げ, その理念と現状について概説し, そのシステムづくりのための健康指標の開発についても考察を加えた. 他方, 山手論文では, セルフ・ヘルプの動きの日米比較を行ない, その共通点と相異点とを, それぞれの社会的・文化的背景にも言及しながら検討を行なっている. 以上の第I部での総説的な論文をふまえて第II部では, 障害者, 糖尿病患者, 一般住民, 大企業労働者, 宗教的治療への参加者等に即した具体的な調査事例の結果を報告している.
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