Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1988: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1987: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
我が国に頻発する親子心中の解明のため, 国際的比較を試みた. 本年度の作業仮説は, 我が国の親子心中が韓国・台湾・東南アジア地域に見られるものと同種のものであること, 即ち親子心中はこれらの国々に共通する土壌の上に見られること, であった. これは次年度の仮説, 一部の論者の言うヨーロロッパ諸国などに認められる親子心中に類似の現象, 即ち子殺しの後の親の自殺は親子心中とは似て非なるものであり発生の基盤が異なること, と対をなすものである. これに基づく本年度の研究経過と得られた知見は, つぎのようである. 1.我が国の親子心中-(1)戦前の小峰茂之の研究の原資料を再分析し, 昭和初期の多発の中に本現象の原型を求めた. (2)戦後の新聞記事の分析からも現象の継続性が見られたが, 近年その発生は急減しつつあり現象解明の手掛りとなっている. 2.韓国-1973年の現地での予備調査をもとに, 同地の新聞記事を分析した. その様相は, わが国の戦前から1950年代のものと多くの相似点が認められる. 3.台湾-RIN,H.の研究にならい同地の新聞記事とわが国のものとの比較を行った. 若干の相違はあるものの両者に多くの共通点が見られる. 4.ホンコン・タイ・ベトナムなど東南アジア地域--各国の出先機関・新聞社・団体などを通じて資料を蒐集する一方, 在日該国人からの聞き取り調査を実施した. これらの作業によって当初の仮説, 即ち我が国の親子心中とこれら諸国のそれとの相似性がおおむね検証されたと考えられる.
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