Research Abstract |
今回は, 長野市立下氷鉋小学校6年生担任の牛山・酒井両教諭の協力を得て, 理科「燃焼」単元の授業を対象にして研究を行った. まず研究計画に従って, 2つのクラスでそれぞれ4回, のべ16時間の授業を収録し, それぞれの授業について各2時間, のべ16時間にわたるインタビューを行った. これらは可能な限り文字に書き起し授業場面とインタビューとを対応させて授業記録を作成し, 分析に供した. これらの記録とともに, 生徒の詳細なノートと生徒自らのまとめによる思考過程図, および教師と生徒の個別的な相互作用の記録も収集した. 次に, 教師の生徒把握が授業方法・過程にどのように反映しているかを調べるために「教師用RCRT」調査を実施した. また, PM,SMT, 「友人関係テスト」ソシオメトリーを実施し, 教師と生徒, 生徒同士の人間関係や, 学級集団の構造等について調査した. 更に, 「教師のライフコース・リサーチ」を実施して, 教師の力量形成過程を調査した. 以上から得られたデータはまだ分析途上にあり, 最終的な成果は詳細な分析の結果を待たなければならないが, 現在における主要な成果を以下に述べる. 一単元の授業を授業研究の対象として選んだことは画期的な効果をもたらした. 授業の計画の段階から授業過程を経, 授業後の評価の段階, 更にそれを元にした次の授業の計画・・・という授業過程の全体的な姿にアプローチすることができ, その過程で教師の思考に上る様々な事柄を詳細なインタビュー調査によって考察にのせることができた. また, 長期にわたって同一クラスの観察を続けたことによって, 様々な方法による分析を交錯させ, 吟味し, 共有する共通の基盤としての研究対象を持つことができた. 以上のことから, 本研究の方法は, 授業研究の方法として, かなりの有効性を持つものとの確信を得た.
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