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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
1.参照資料の補充 基準資料としては当初の計画どおり, 杜佑(唐)『通典』の〈辺防典〉及び馬端臨(元)『文献通考』の〈四裔考〉を選定したことに問題はなかったが, これを補完する参照資料については, 『蛮書』や『(新・旧)唐書』のほかに, 唐代雲南の総合的地志として夙に定評のある李京(元)『雲南志略』(輯本), ならびに広く南海の博物誌として知られる周去非(宋)『嶺外代答』(10巻)の2篇が, 前記基準資料の校勘文献として欠かせない史料であることがわかったので, これを追加し, 万全を期した. 2.シミュレーションによる実験効果 テキストの前処理の過程で, すでに入力ずみの正史『新唐書』〈南蛮伝〉, および前処理が一応完了した『蛮書』の2データを主軸にして, 若干の習俗語彙に関して実験的な検索シミュレーションを試みた. その結果, 以下のような欠文の補顛, および記述の錯簡の発見に成功した. (1)貨幣としての《貝》 『蛮書』巻8〈蛮夷風俗〉の条には交易について「本土不用銭. 凡交易繪帛, 氈〓, 金, 銀, 瑟瑟, 牛, 羊之属」とあって, とくに《貝》については記載がないが, 『新唐書』巻222上には「以繪帛及貝市易」とみえ, 『蛮書』の欠落を埋めることができた. (2)死者の耳の保存. 『蛮書』巻8〈蛮夷風俗〉の条には, 葬法について「凡死後三日焚屍, 其餘灰燼, 掩以土壌, 唯収両耳. (中略)或銅瓶鉄瓶盛耳蔵之也」とあって, いかにも《盛耳》という習俗が行なわれているように述べられているが, 『雲南志略』は《盛耳》を否定している. 3.今後の研究の展開 上記のシミュレーションからもこの種の研究のもつ意義が窺えるが, 当面は本格的入力に努める所存である.
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