Research Abstract |
1.拙著『増補中国通俗小説書目』が1987年5月, 汲古書院より刊行された. これを承け, 本科学研究費により購入したパソコンを使用し, さっそく通俗小説刊行書肆の索引作りを開始した. この索引はまず書肆名(所在地を含む)をあげ, 次いでその書肆より刊行された通俗小説を刊行年代順に列挙し, 最後に拙著と対照すべく, そこで各通俗小説に付与されている通し番号とページ数をあげるというスタイルをとることとした. この索引により, 何時頃何処の何という書肆よりどういう傾向の通俗小説が刊行されたかが一目瞭然となったわけであり, 中国通俗小説研究への寄与は少なくないと信ずる. 当初の計画では自身でこの間の作業を担当する予定であったが, 作業量と作業への熟練度を勘案し, プログラミングを含め, 東京大学文学部助手の笹倉一広の援助を受けることとした. なおこの目録は「増補中国通俗小説書目書肆名索引」として笹倉一広の名ですでに公表している. 2.1987年8月台北で明代戯曲小説国際検討会が開催され, そこで「從二刻到三刻-明末清初小説的才子佳人化」を題する口頭発表を行い, 論文を提出した. 本論文は間もなく台湾で活字化される予定である. この訪台の機会を利用して中央図書館, 台湾大学, 中央研究院歴史語言研究所の蔵書を調査したが, その成果と巴黎国家図書館蔵本等に関する新知見をもとに, 拙著私家第一次改訂増補新版を作成し, と同時に上記索引の手直しをした. 3.ここ数年来の研究を承け, 1987年10月, 清初の小説家李漁については「無声戯から連城壁へ」を, 公案小説をめぐっては「公案小説研究二則」を発表したが, 今後も本科学研究費によるパターンと素材の情報処理により, 1988年6月中国遼寧省丹東市で開催される明清小説談話会では〓湘迷津渡者とその小説」を, 1988年度の埼玉大学教養学部紀要には/二刻醒世恒言について(仮題)」を発表の予定である.
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