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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 芥川龍之介と西洋文学, 芥川龍之介と夏目漱石, 福来友吉と夏目漱石, 芥川龍之介と福来友吉, 日本におけるスピリチュアリスム, 文学と心霊学, 芥川龍之介とカミューユ・フラマリオン, 芥川龍之介とレミ・ド・ブールモン |
Research Abstract |
日本近代文学館に所蔵される芥川龍之介旧蔵書中809冊の洋書については, 書き込みの調査を終え, すでに『芥川龍之介読書年譜』(東京大学「比較文学研究」第43号, 「現代文学」第27号)として報告ずみである. 本研究ては, まずその書き込み箇所を, 原文とともに遂一復元することから始めた. この作業は, 文学館の方針によって, 原本から複写することが禁じられているため, 完成にはなお数年かかるものと思われる. ついで芥川龍之介が19世紀フランスのスピリチュアリスト, カミーユ・フラマリオンの書物『死とその神秘』(La Mort et son Mystere, Death and its Mystery.)の書き込み部分を訳出, この書物がなにゆえ芥川龍之介の架蔵本のなかに入り得たかを考察するなかで, 日本における最初のフラマリオンの読者であった福来友吉の仕事を仙台市の心霊研究所において調査し, また東北大学の漱石文庫のうち見いだされるフラマリオンの著作中の書き込みの調査を通じてフラマリンオンと夏目漱石との関連を明らかにするとともに, かなりはやい時期から芥川龍之介がスピリチュアリスムに深い関心をもち, それが最晩年の遺作『歯車』の成立にまで色濃い影を落としていることを明確にすることが出来た. この成果は, 日本比較文学会昭和62年度東京支部大会において, 「芥川龍之介とスピリチュアリスム」と題して報告し, また, 『芥川龍之介と西洋文学-餓鬼窟淫書曼陀羅(1)-カミーユ・フラマリオン』(「現代文学」第35号)に発表した. つぎに『芥川龍之介と西洋文学-餓鬼窟淫書曼陀羅(2)-レミ・ド・グールモン』(同36号)において, 芥川龍之介の架蔵本のなかで, 最も書き込み箇所の多く見られるグールモンの『リュクサンブールのある夜』(Une Nuit au Luxembourg, A Night in the Luxembourg)について, 傍線下線箇所をすべて訳出し, 芥川龍之介のアフォリスム文学の一つの典拠であることを示した.
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