Research Abstract |
本研究の対象児である一卵生双生児2組4人について, 各自の自閉症状と精神遅滞の程度を特定するため, 日常の学習の様子を観察し, かつ, VTRに収録し, 分析した. ここで分析した要因の同定については, 発達検査やチェックリストの結果からもカテゴリー別に検討し, 補充するようにした. 4人の対象児の学習集団における指導について, 以下の知見を学級担任に提示することができた. 1.対象児一人ひとりの指導要素を特定するため, 母学級での学習の様子について, 適応状況と観察, 分析した結果, 教師が個別にかかわり合ったり, 対象児の関心のある学習課題を提示されると, 意欲を示していた. 反面, 小集団指導や新しい課題への取り組み時に問題行動が多く生起し, これらが学習の遂行に深く関連していることが明らかになった. 2.母学級における学習のうち問題行動として分析した離席行動, 自傷行為, 自己刺激行動, ロッキングについて, それらが出現する要因を同定した. その結果, 教師側の変数として, 発問のしかた, 指示(言語, 動作等を含む)のしかた, 課題の与え方, 課題の難易度や経験の有無等が不適応行動の生起にかかわりのあることが考察された. 3.問題行動の生起要因のひとつである教師と対象児のコミュニケーションの機能水準を検討した結果, サイン, 身ぶり, 写真等の伝達手段を併用したことの有効性が見出された. 4.対象児の個別指導計画をたてるために, いくつかの課題学習を通して各自の認知能力(類似, 差異の記憶と弁別)を把握し, 最低必須内容に関する基礎資料を得た. 今後は, 積極的に課題へ従事していくための方策として, 教師側と子供側の要因と指導方法の検討を要する.
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