Research Abstract |
本研究では鉄鋼貿易体制の変容を, 経済と政治, 通商法と政治力学, さらにはアメリカ, 日本, 欧州の三極間の交渉過程を中心に考察した. この事例を出発点に, 理論化, モデル化を試行したわけであるが, 期間が1年に限られたため, 具体的なモデル化にまで進みことは十分な形でできなかった. しかし1970年代から80年代初頭については, いぜいの研究をまとめる形でではあるが, 具体的な成果をまとめることができた. (『保護貿易の政治力学--アメリカ鉄鋼業の事例研究--』(勁草書房刊) 本研究では, 上記の成果をさらに拡大, 発展させる為の基礎作業として, 国際政治経済学の日欧研究の文献チェック, 購入が可能となり, 資料面での発展も大いに促進された. 以上の効果を十分活用し, アメリカに限らず, より広い視野からの「保護貿易政治経済論を, 今後発表してゆく計画であり, すでにその一部は, 執筆の過程にある. (「貿易摩擦と国際政治」『講座 国際政治』第5巻所収予定;東京大学出版会より刊行予定) このように, 一年間の研究資金という制約下ではあったが, かなりの効用がもたらされたと考えている. 今後とも, 当該研究テーマを, 深り下げてゆきたいと考えている.
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