Research Abstract |
本研究の目的は, すでに実施された日米共同の現地調査-在米日系自動車・電機企業の現地生産に関する-をもとにして, これに関係する資料を国内的にフォローアップしつつ, 総合的に整理・分析することにあった. その結果得られた新たな知見, 成果は次のようなものである. 1.在米日系企業は概して日本流の経営方式の現地持込み(「適用」)に強い意向を示し, アメリカ的環境への「適応」は遅れ気味である. 2.取り上げた14対象企業の中では, 自動車-高「適用」志向, 家電-高「適応」志向, 半導体-中間的という, 見事な産業別の相関がみられた. 3.同じく対象企業の中で, 経験の長い企業-高「適応」, 短いもの-高「適用」という相関もみられたから, 2の産業別相関との関連が今後の問題になる. 4.「適用」志向の中でまず目立つのは, 高い品質を効率を保証するための物的な技術(生産設備, 中核部品など)や要素(管理, 技術要員)の日本工場からの持込みである. これを日本型経営方式の「結果」の持ち込みという. しかしそれとともに, 「方法」そのものを適用するために, 作業組織の日本的改変(職務区別の単純化など), トレーニング, 親睦行事などの導入も進められているが, なおきわめて不十分である. 5.「適応」志向では, 積極的なものは, 一部現地管理層の登用, 一部部品の現地調達などに限定され, 「適用」とのバランスを欠いている. 6.今後は, この適用と適応の混合度合いをハイブリッド度と呼べば, その割合いにおいて「結果」の適用を少く(「方法」の適用を高めることは重要), 適応を高めること, およびその内容が問題になろう. 7.以上の分析結果の一部を, 二つの国際学界で報告した(研究発表の項を参照).
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