Research Abstract |
今年度は1.北陸地域経済国際化の現段階と北陸企業の国際化戦略 2.「円高, による北陸地域経済の再編成 3.国際化に対応する地域産業政策の課題の3点にわたって調査研究を行った. 1.については北陸三県で61企業198事業所が海外に生産及び販売拠点をもっており, 増加傾向にある. 他方, 外資系企業の北陸地域への進出状況は北陸三県で12企業にすぎず, 円高基調の中で外資進出環境は一般に厳しくなっている. 北陸企業の国際化戦略についてはアンケート調査を実施した. (対象企業110社, 回答率42%)これによると市場拡大を求めて国際化のチャンスを狙っている企業が多数を占め, 合衆国, 中国, アジアNICSへの進出予定が多く, その際に労働事情, 販路, マーケティング等に関する情報を必要としている. また対外投資による対内投資の縮少という可能性は比較的少ないという見通しがある. 次に, 貿易面では昭和61年度を画期として輸出額が落ち込みを見せている. 従来から輸出比率の高かった繊維品がNICSなどによる追い上げの中で国際競争力を失ったからである. 他方, 機械等では高い技術力を背景に好調な輸出を続けている企業もある. 2.については円高基調の中で, 合繊長繊維織物の国内最大の産地である福井・石川においてその影響は甚大で, 零細事業所の淘汰が続いている. 同時にその中で, 産業用衣料や炭素繊維の製品化などの新分野への転換・進出によって苦況を脱出しようとするベンテャラスな企業も登場している. また, 富山のアルミ精錬は完全に撤退したが, アルミ加工部門は内需振興策により好景気を持続しており, 部門間での光と影が極立っている. 3.については主として北陸企業の国際化支援政策, ハイテク・ソフト化政策のあり方を検討したが, 現状では両者の総合化による北陸地域経済再構築戦略の具体化が望まれる. この点については引き続き研究を続行する計画である.
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