Research Abstract |
今日における日本の企業体は, 経営の国際化および経営のグローバル化を押し進めているといえる. このような状況の中で, 日本の企業体は, 経営の多国籍化を求めることになり, そこに日本的経営論の一環としての日本型多国籍企業論・多国籍経営論の問題が新しいテーマとして考えられることになった. 本研究では, 日本企業における経営の多国籍化の展開過程について, その手掛りをいわゆる「経営体制の発展原理」の中に求め, その中に生起する諸問題のうち, 国際財務管理の課題および国際的経営者論に焦点をあわせ研究を試みてきたわけである. 具体的には, 資金調達手段の多様化および資金調達手段の国際化の問題, たとえば転換社債, ワラトン債, コマーシャル・ペーパー等の理論上の意味内容を明らかにすると同時にその実務上の優位性を明らかにした. また, 国際財務管理組織が, 日本の企業体の中でもっとも重視されてきた実態を明らかにした. 他方, 経営のグローバル化に伴い, 日本の多国籍企業において, グローバル経営者育成の必要性の実態を調査し, またグローバル・マネジメントによる経営システムを構築する方向性を「経営体制発展の原理」の中で問題提起をした. 本研究によって, 現行における日本型多国籍企業の重要課題として次の5点を提起することとなった. 1.金融子会社の設立とその機能強化 2.資金調達手段の多様化と国際化 3.グローバル経営者の育成 4.グローバル・マネジメントの生成 5.国際財務管理組織の必要性 尚, 今後の研究の展開として, 日本型多国籍企業の財務管理の特長を整理することにしたい.
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