Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久我 健一 東京大学, 理学部, 助手 (30186374)
古田 幹雄 東京大学, 理学部, 助手 (50181459)
上 正明 東京大学, 理学部, 助手 (80134443)
落合 卓四郎 東京大学, 理学部, 教授 (90028241)
服部 晶夫 東京大学, 理学部, 教授 (80011469)
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Research Abstract |
本年度の研究実績を3つの部分に分けて報告する. 第1は研究実施計画で主目標として掲げたモジュライ空間上のII型計量の構成問題について, 第2はモジュライ空間の位相構造について, そして第3は, 4次元多様体への応用についてである. 第1のII型計量の構成問題は第1外微分α^V:Ω^1(adP)→Ω^2(adP)(PはM^4上の解析的SU(2)-主束)の単射性が主たる問題点であるが, 本年度では, モジュライ空間の周辺部での単射性の証明にしか成功しなかった. 中心部分での単射性を追究する過程で, コージー・リーマン型の興味ある偏微分方程式系に逢着した. 現在これについて研究中である. また, 広中の特異点解消を使ったregularityの証明部分では, 特異点を解消したとき, もとの多様体の距離がどのように変形されるかを精密に評価する必要があり, これについても未完成の部分を残している. 第2の位相構造の研究について報告する. これについては, S^4のインスタントン数2の場合の服部の研究があるが, 服部の指導を受けた神山により, この結果を拡張する形で, 一般のインスタントン数のS^4上のモジュライ空間の第2ベッチ数が消えることが証明された. 第3の4次元多様体への応用については, ドナルドソンの定理を応用して2次元球面の4次元多様体へのはめこみの自己交叉数を評価する久我の研究があるが, 古田は, ドナルドソンの定理そのものを改良することによって, 3次元ホモロジー球面のなす同境界【O!H】^3に関する驚くべき結果を証明した. すなわち, 【O!H】^3には無限指数の自由アーベル群が含まれる, という結果である. 【O!H】^3は4次元多様体論で重要な役割を果たす群であるが, 上記の古田の結果は, この群に関する, 現在世界最良の結果である.
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