Research Abstract |
この10年余りC^n単位球Bn上のハーディ族の零点集合を研究してきたが,得られた中間的結論はハーディ族H^F(Bn)の零点集合が極めて複数であることが判明したということである. このことは筆者自身の幾つかの論文やルージンを始めとするアメリカの諸研究者,スコダを代表とするフランスの専門家等のよって明らかにされた. 最終的解明はまだまだかなりの定数を要するものと思われる. 最大のハーディ族とみなされるものにネバンリナ族N(Bn)がある. 更にその重要な部分族にスミルノフ族N_x(Bn)がある. N(Bn)の零点集合の特徴づけは上記のスコダ及びソ連の学者ヘンキンによって完全に解決されている. H^<〓〓>(Bn)CH^P(Bn)CN_〓(Bn)CN(Bn)(0<〓<∞)の関係がある. H^P(Bn)を調べるには, N_X(Bn)及びN(Bn)を精密に研究すればよい. N(Bn)に自然な位相を入れると, これは加法に関して位相群になるが, スカラー乗法が不連結となり, 位相線型空間にさえならない. 例えば, N(Bn)の0の連結成分はN_X(Bn)になるか, というシャピロの問題がある. このようなN(Bn)の位相の問題を研究してゆくと, 多重劣調和関数, またもっと一般的なM-劣調和関数の境界値を詳しく調べることが必要となる. 下記の筆者の1987年の論文は, これら境界値問題についての一つの結果であり, 古典的なリットルウッドの1927年の定理を一般化したものである. 1983年, ネストレロード及びストルは, C^nの単位多重円板U^n上のネバンリナ族N(U^nの位相の問題を考察し, n-劣調和関数について重要な補題を証明しているが, この補題はBn上のM-劣調和関数については成立しないことを筆者は示した(未発表). またBn及びU^nを一般化したものであるC^n上の有界対称領域D上でネバリンリナ族N(D), スミルノフ族N_X(D)及びハーディ族H^P(D)を考察し, 真の包含関係 U__<0<P<A>H^P(D)C__≠(D)C__≠N(D) を証明した(未発表)
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