Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 茂 津田塾大学, 学芸学部・数学教室, 助教授 (40147004)
坂本 幸一 津田塾大学, 学芸学部・数学教室, 助教授 (40090518)
福原 真二 津田塾大学, 学芸学部・数学教室, 教授 (20011687)
田中 茂 津田塾大学, 学芸学部・数学教室, 教授 (70055317)
伊藤 俊次 津田塾大学, 学芸学部・数学教室, 教授 (30055321)
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Research Abstract |
我々の興味の中心の一つは, ハミルトン系に現われる不安定領域の構造を調べることであった. 不安定領域の構造で著しいのはその"島構造"である. この島構造は自己相似性をもつが, この構造はハミルトン系のみならず, 広い範囲の力学系にみられ, いわゆるカオスの理論とのかかわりで大きな興味をひいている. 我々のグループはこの現象がもっとも純粋な形で現れ, かつ計算可能な対象である, ある種の数論的変換達に対して, これらの構造の研究を行い, 数々な興味深い結果をえた. 例えば変換の不変集合として, 自己相似性をもったフラクタル図形を得, その性質を研究した. これらの結果は力学系の理論やカオスの理論のみに限らず, 数論にとっても大きな意味があるものと思われる. 結集の多くは内外の雑誌に発表される. 無限粒子系のエルゴード的性質の研究もまた我々の課題であった. エントロピーの増大則とのかかわりで, 我々はある1次元の無限粒子系の研究を行なってきたが, その際, 系の発展は確率分布で表わされる状態の変化を通して調べた. このことをサンプルパスについて可能かどうかの検討を行なった. また, 2次元の流体力学的な無限粒子系のある種の状態は本質的に我々の1次元無限粒子系に帰着されることが分ったが, この系に流体力学的極限操作をほでこすと, 系の発展はナビエ・ストークス方程式に従うことが分った. 我々の得た結果は残念ながら非常に限られた形の解ではあるが, 可逆な離散モデルから, 非可逆的なマスター方程式の解が導かれることは非常に意味のあることと思われる. ハミルトン系の最近の研究で非常に重要なものに, マザーのいわゆるマザー集合に関する研究がある. 我々は彼の研究分析を行うとともに, 彼の一般論を具体化すること, 及び多次元の場合に一般化することを試みたが, 今の所, 著しい成果を得るには至っていない.
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