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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本研究では弱い強磁性体を中心とする遍歴電子磁性体に関して核磁気共鳴によりスピン一格子緩和時間T_1を測定し, スピンの揺らぎの理論によって定量的に解析することにより実験と理論との比較を試みた. 用いた磁性体はYCo_2, LuCo_2, Y(Co-Al)_2, (Fe-Co)Si, Mnホイスラー合金である. 典型的な強磁性寸前の金属および弱い遍歴電子強磁性体であるYCo_2, LuCo_2, Y(Co-Al)_2, (Fe-Co)Siに関して我々はSCR理論が示すように1/T_1Tが磁化率xと比例関係にあることを確かめ, その比例定数からスピンの揺らぎのスペクトルのエネルギー幅Γ_oを見積った. このΓ_oおよび磁化測定より求められるパラメータを用いてSCR(守谷)理論によりキュリー温度T_c以上のxや電子比熱係数γを系統的に数値計算すると実験値と非常に良く一致することがわかり, SCR理論の妥当性を定量的に示すことができた. このような実験と理論の定量的比較は我々の研究と最近の理論グループによる2〜3の研究を除いて他に例がない. 更に, 弱い遍歴電子強磁性のリミットから電子相関の強い領域に拡張して, 局在モーメント系金属磁性体Mnホイスラー合金やインバー型中間領域強磁性体Lu(Co-Al)_2における動的振舞いをNMRのT_1測定によって調べた. その結果, ホイスラー合金やインバー型磁性体では磁気移点以上でT_1は温度によらないことが明らかとなったが, 弱い強磁性でもTc以上で1/T_1〓T/(T-T_c)→1と1/T_1は一定となり定性的には区別がつかなく, やはり定量的解析が重要となる. ホイスラー合金のT_1=一定の値は絶縁体の磁性体に考えられた交換周波数ω_<ex>によって動的磁化率がきまる局在モーメントモデルと定量的に一致し, インバー型金属磁性体では局在モーメントモデル, SCR理論の両方に従わないことが明らかになりスピンの揺らぎの動的な統一理論の成立が待たれる.
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