Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
ファン・デル・ワールス(vdW)分子の振動前期解離機構の理論的解明を目的として研究を進めて来たが, 特に, 断熱的取扱いが有効である事が明らかにされた. 高振動分子内振動と低振動のvdW振動モード間で断熱分離した基底をとり, この基底をもとに, 断熱近似の破れを摂動として, 高振動分子内振動のエネルギーが低振動vdW振動に流れる事により解離が起る事を明らかにした. 具体的には, T型の三原子分子vdW分子であるI_2-He分子を考えて, vdWモードの断熱ポテンシャル及び振動前期解離速度定数を評価した. 実験結果(Snalley等の吸収スペクトル線幅より得られた速度定数)との比較から理論値は実験値を再現している事が示された. 以上の研究結果から, 従来, 理論的に行なわれて来たclose couplingの方法による前期解離速度定数の評価法と比べて, 本研究で開発した断熱的方法は, 振動前期解離過程を局在した振動モードから解離モードへのエネルギー移動という直観的描写で解離出来る利点があり, 又, 速度定数の定量的評価が実験値を再現するという事から本研究でその成果が達成されたと確信する. 現在, 本研究の継続として, 多原子分子と希ガスのvdW振動の動力学の解明を, 断熱的取扱いに基づいて行っている. ここでは, 光学励起高振動モードからvdWモードへの直接的なエネルギー移動ばかりでなく, 他の分子内振動モードを経由する場合, 又分子回転によって解離が誘起される場合も考慮しなければならない事が理論的に明らかにされつつある.
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