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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
相互作用の局所性に基づくクラスターモデルは, 固体触媒反応の量子化学的研究においてよく用いられる. しかしながら, このモデルではクラスターの背後にある固体金属の影響を完全に無視しているために, 電荷移動やスピン移動の大きな表面反応過程の研究には不充分であると思われる. ここではクラスターと吸着子・反応子の系をadclusterと呼び, これが固体金属の"電子浴"に浸って(dip)いて, 自由に電子を交換しているモデルーdipped adcluster modelを提唱した. Adclusterと固体金属の電子の間に平衡が成立していて, それは, (θE(n))/(θn)=-μ と書けるとする. ここにE(n)はn個の電子が流入したadclusterのエネルギーであり, 分子軌道法によって計算する. μは金属表面の電子の化学ポテンシャルである. Adclusterは部分系であるので, nは整数であるとは限らない. 助触媒, 添加物, 担体の効果は, 温度, 電位, 光等の効果と同様μを通じて表現される. このモデルをまずパラジウムーO_2系に応用した. Pd表面をとりあえず一個のPd金属で近似し, 酸素分子をend-on on top型に近づけ, パラジウム表面の電子との交換を許した. Pd表面でO-Oは約1.35〓, Pd-Oは約2〓で安定であった. Adclusterに金属から約0.6〜1個の電子が流入し, その大部分はO_2に流入している. Adclusterと金属表面に生じたホールとの静電的な相互作用も重要である. またO-Oの伸縮に伴う電子移動の増減も大きく, 強い赤外吸収強度が期待される. O_2の中では, Pdに近い原子の方がより負に帯電している.
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