Research Abstract |
〔I〕心筋ミオシンのMg-ATPase, アクチン活性化Mg-ATPaseおよび心筋アクトミオシンの超沈澱活性: (a)分別したミオシン分子の二つの頭の一方(s1-B)は初期突発活性(M^<ADP>_Pの形成)を示すが, 他方(S1-A)はそれを示さない. S1(B)のトリニトロフェニル化(TND)は初期突発活性化を抑制するが, 定常状態のMg-ATPaseを活性化する. (b)S1(A)とS1(B)のいずれも最適Mg濃度(mMとμM)の異なる2つのATPase活性をもつ. S1(B)の2つの活性はいずれもアクチン添加によって活性化される. S1(B)のTNP化はμMのアクチン活性化Mg-ATPaseを抑制するが, mMのそれを活性化する. 一方, アクチンはS1(A)の〓MのMg-ATP活性を抑制し, μMのそれを活性化した. (c)心筋アクトミオシンの超沈澱活性には, 最適pH(6と9)および最適Mg濃度(mMとμM)の異なる二種類ある. ミオシン(S1-B)のTNP化は二つの活性の一方(μM-pH〓6)を抑制し, 他方(mM, pH〓9)を活性化する. 〔II〕ミオシンによるATPモデル化合物, フェニルミリン酸の加水分解:高濃度のMa(mM)存在下では, Mg-ATPaseの場合と同様に, モデル化合物の加水分解の最適pHは6と9の2つがある. しかし, 低Mg濃度(μM)ではアルカリ性pHにおける活性はなく, 酸性pHにおける活性のみを示す. 以上の〔I〕の結果によって, 我々の主張, NOn-Identical Heads説(ミオシン分子の二つの頭の酵素活性は互いに異なっている)を発展させることができた. また筋収縮においてS1(B)が主役の役割を果たしていることが増々確かになってきた. しかし, まだそれにおいてS1(A)の役割については不明な点が多い. 〔II〕の研究によって, S1(A)とS1(B)の機能の違いを更に明らかにするための手掛りを得たものと考えている. 今後これについて検討を続けたい.
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