Research Abstract |
含硫, 含セレンフテロピンは熱的(速度論的)に不安定な化学種である. チエピンがその代表例であり, その他チアゼピン, セレニピン等がある. ヘテロピン化学の体系化には, これら化合物の合成は不可欠である. 私は, チエピンの2, 7位にもブチル基を導入するとチエピンの安定化が可能であることを見出し, 続いて1, 4チアゼピンも同様であることをすでに報告した. 今回, 同様の方法で安定化させた単環性セレニピン, 1, 3チアビピンの合成に初めて成功した. 1.セレニピン セレナピランの4位に環拡大反応に必要な官能基を持つ炭素鎖を導入し, 温和な条件でカルベンを発生させ, 4, 5位にエステル基を持つセレニピンを合成した. チエピンの場合と異なり, 室温でも脱セレン反応は信仰する. この脱サレン反応経路を推定するために, 脱セレン反応の速度論的研究行った. 興味深いことに, チエピンの脱硫中間体に相当するセレンノルカラジエンを経由しないことが判明した. 〔第11回国際複素環化学討論会(ハイデルベルグ, 1987)で発表〕 2.1, 4-チアゼピン 最近5位にメトキシ基を持つ化合物の合成, 単離に成功したが, 更に電子的攝動が小さい誘導体合成を計画し, 基本骨格合成法を確立したが, 目的を達成出来なかった. 現在も研究を継続している. 3.1, 3-チアゼピン 1, 34ジン誘導体を経由する方法では成功しなかったが, チアヒランの4位に導入したアジト基からアイトレン経由で1, 4-チアゼピン合成を検討中に1, 3-チアゼピンが生成した. その詳細な反応経路は不明である. この方法で5位にアルキル基, フェニル基, エステル基を持つ誘導体が合成できた. 予期通り, 室温では脱硫反応は進行しない. 現在, この新規な複素環化合物の諸性質を研究中である.
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