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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
多核マンガン錯体の形成を可能にする配位子として, 次の様な型の有機配位子を合成した. 1.アルコール酸素を架橋基として含むもの, 2.フェノール酸素を架橋基として含むもの, 3.チオール硫黄を架橋基として含むもの, 4.架橋基を持たないもの等である. これらの配位子をマンカン塩と反応させて種々のマンガン錯体を得た. 1.の場合元素分析やX線結晶解析を行った所, 配位個のアルコール酸素, メタノール(溶媒)の酸素, 酢酸イオンが2個のMnを架橋しさらにメタノールと過塩素酸イオンが配位した特異な二核構造を持つMn(III, III)二核錯体であることがわかった. これらのMnイオン間には反強磁性的相互作用が働き, 光化学系IIに特有なESRシグナルは観測されなかった. 電気化学的酸化を行うことによりMn(III,IV)やMn(IV, IV)状態をつくろうとしたが, 錯体の酸化還元挙動は可逆的ではなかった. 2.では配位子のフェノール酸素, 2つのカルボキシル基が架橋したMn(II, II)及びMn(II, III)二核錯体が得られた. 後者についてはX線結晶解析, 電子スペクトルの結果よりクラスIの混合原子価錯体であることがわかった. これについてもESRシグナルを観測することはできなかった. この他に2.の型のシッフ塩基配位子を用いてMn(II, II), Mn(II, III), Mn(III, III)と考えられる二核錯体を得ており, 現在その物性と構造を調べている. 3.ではMn(II)の二核及び三核錯体が, そして4.ではMn(II)の二核錯体が得られたが, それらの構造を明らかにする必要があり, 現在単結晶を作成中である. その他, 光化学系IIへENDOR法を適用するための基礎的データとしてμ-オキソ架橋Mn(III)-Mn(IV)錯体や単核Mn(II)錯体についてENDOR測定を行った. これらの成果を基に今後はMn(IV)錯体の方に力点を置いて行こうと考えている.
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