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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
ケイソウ, Phaeoductylumを用いて, クロロフィルC生合成の研究を行った. クロロフィルCには分子的に類似したC_1とC_2が存在しており, 未だ分析手法は確立されていない. そこでこれら色素の分離, 定量法を確立するために, 高速液体クロマトグラフィーを用いて分析条件を検討した. クロロフィルの分析には我々の開発したポリエチレンカラムを用い, 67%アセトン/水, 0.2ml/分, 20°Cで溶出することにより分析が可能である. またピークの保存と分離能は溶出の極性の増加によって増大すること, また温度の低下によって増大することが明らかになった. この手法を用いてクロロフィルCの生合成の経時変化を検討したところ, クロロフィルaとC_2のレベルは細胞の生長にともなってほぼ同時に生成が進行するが, C_1はわずかに遅れる. これはクロロフィルC_2→C_1への生成過程によるものと思われるが, 酵素化学的な反応についての知見は得られなかった. 生成したクロロフィルが, エステル化されているのか, 非エステルであるのかをケン化後, アルコール成分について検討したところ, 非エステルであることが判明した. このことは従来の文献とも一致している. クロロフィルC合成の経路を明らかにするために, ニコチンアミド(ジビニルプロトクロロフィリドのクロロフィリドヘの生成を特異的に阻害する薬剤)を投与した培地を用いてケイソウを培養したところ, ニコチンアミドにより, クロロフィルaのレベルは著しく阻害されたが, クロロフィルCのレベルはクロロフィルaに比べて阻害の程度は低かった. このことはクロロフィルCの生成系がジビニルプロトクロロフィリド以前で分岐した別の系により合成されることを示している. しかし, この実験系では細胞の生長もかなり抑えられているので, 結論は今後の実験に待たなければならない. ケイソウにはクロロフィラーゼ(クロロフィル分解酵素)が多量に存在し, このことも問題を複雑化している.
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