Research Abstract |
アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の未受精卵にCa^<++>-sensitive photopratein(Aequorin)を注入し, ガラス針を刺すことにより付活すると, 1)付活点から細胞内カルシウムの遊離が始まりそれが反対極に向かって波状に卵表層を伝播すること(Ca^<++> waveの存在), および2)Ca^<++> wave域は微速度映画で観察されるActivation waveのlight zone(表層弛緩域)と一致することが既に報告されている(Kubota et al,1987). 本研究の目的は, 1)人工受精卵においても人工付活時と同様のCa^<++>waveが観察されるか, 2)人工付活卵のCa^<++>wave域と表層粒崩壊域とが卵表上でどのように空間的に対応するのか, この2点を調べることである. 結果1:燐酸緩衝液中でAequorinを顕微注入した野生型Xenopus卵母細胞をアルビノ型Xenopusの体腔中にOR2液と共に移植した. アルビノ型♀から経時的に絞りだした未受精卵の中に時々現れる野生型の卵をSteinberg液中で受精させ, 受精に伴う細胞内カルシウムの遊離をAequorinの発光でとらえた. その結果, 精子を加えた側の卵表からカルシウムの遊離が始まり, 遊離カルシウム域の先端が円状に反対極にむかって進行した. このCa^<++>waveの時間的空間的特徴は付活時のものと基本的に同等であった. 結果2:Aequorinを注入した人工付活卵を用いて超高感度ビデオ顕微鏡でCa^<++>waveを見ながら卵を固定し, 走査型電子顕微鏡で表層形態を調べることにより, Ca^<++>waveと表層粒の崩壊・微絨毛の伸展との対応を調べた. その結果, Ca^<++>wave域は表層粒崩壊域とほぼ一致することがわかった. まとめ:以上から, アフリカツメガエル卵の受精時にも確かにCa^<++>waveが存在し, 形態的にはActivation waveのLight zone(弛緩域)と, 微細形態的には表層粒崩壊域と一致することが明らかになった.
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