Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Research Abstract |
筋収縮の滑走説によると, 横紋筋の発生する張力は太いフィラメントと細いフィラメントの重なり合いの程度により決まる事になっている. しかし実際には筋肉の発生する張力はその履歴により大きく異る. その顕著な例として二つの現象が知られている. 一つは, 等尺性収縮中に筋肉を5〜12%ゆるやかに伸長すると, 伸長中及び伸長後, 張力は滑走説で説明されるより大きな値を示す事であり, 他はこれとは逆に, 等尺性収縮中に5〜12%ゆるやかに短縮させると, 短縮中, 短縮後に張力は滑走説で説明されるよりも低い値となる事である. これらの機構を調べる為, 当研究では二つの方法を用いた. まず収縮中に結合しているクロスブリッジの数の指標とされる筋肉の硬さを測定する為, 筋肉に1KHz, 振幅0.1%の正弦波を与え, それにより生じた張力応答を測定した. その際まず最初に振動を与えないで張力を記録し, その後振動を与えて張力記録を得て, 両者の差をデジタル的に求めた. 当研究に与えられた補助金により購入したデジタルオッシロスコープはこの目的の為には欠くべからざるもので, 完全にその機能を発揮し, 目的を達成した. その結果は次の通りである. 1.前者の現象の場合には, 筋肉の硬さは伸長の初期には一過的に約15%程度増加1.伸長停止後2〜3秒で滑走説で説明される値にもどる. 2.後者の現象の場合には, 硬さと張力は著しく並行した変化を示した. 3.筋繊維の長軸方向の局所な長さ変化を筋繊維の表面に炭素を付着させ毎秒200コマの高速ビデオで撮影し調べた. 前者の場合には筋繊維は全長にわたりほぼ均等に伸長していたが, 後者の場合には不均一性が著しく, 筋繊維の中央部はほとんど短縮しない事が判明した. 以上の結果から二つの現象は全く異る機構に基くものと推測される.
|