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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
卵成熟促進因子(maturation-promoting factoriMPF)は, 単に卵母細胞にとどまらず真核細胞一般において, 分裂中期促進作用をもつ蛋白質である. 卵成熟過程においてMPF活性は, 各分裂中期に最高値に達し極体放出時には消失して, 減数分裂周期に応じて変動する. 本研究の目的は, MPF活性消失の意義と機構を明らかにして, MPF活性の調節機構を解明する糸口を得ることにある. 本年の研究の結果, 以下のことが判明した. 1.マウス末成熟卵は濾胞から培養液中に単離すると, 自然成熟をおこす. この際サイトカラシンDで処理すると, 第1減数分裂中期の状態で成熟分裂の進行は停止し, MPF活性は高いままに維持された. こうした時さらにシクロヘキシミドを加えると, MPF活性は減少・消失し, その後を追って染色体は両極へ分離し, やがて脱凝縮して核様の構造体が2個形成された. 従って, MPF活性の消失は分裂中期から後期への移行を促すといえる. 2.酵母Saccharomyces cerevisiaeにも, M期にはMPF活性が存在しているが, G1期には存在しない. そこで温度感受性突然変異体cdc20株を制限温度(36°C)で培養して核分裂中期に同調させたあと, 許容温度(24°C)に下げて細胞周期をG1期まで同調的に進行させ, そこから細胞質抽出物を得た. これと酵母MPF粗分画とを混合すると, MPF標品中に当初あったMPF活性が消失した. このことは, G1期の細胞内にはMPF活性を抑える因子 (suppressor MPF;supMPF)が存在している可能性を示唆している. 以上の結果から, 卵成熟時におけるMPF活性の周期的変動のうちの減少の方は, supMPFがMPF活性を抑えることに起因し, これが分裂中期から後期への移行の引金になると考えられる. 現在, supMPFに対する蛋白分解酵素, Ca等の影響を検討中であり, supMPFの大まかな化学的性質をまず明らかにしていきたい.
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