Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Research Abstract |
多くの脊椎動物の卵の最終成熟は脳下垂体から分泌される生殖腺刺激ホルモン(GTH)の働きにより卵を囲む濾胞細胞で生成される卵成熟誘起ホルモンの作用で誘起される. 本研究では長浜らによって単離・同定されたアマゴの卵成熟誘起ホルモン(17α, 20β-ジヒドロキシー4-プレグネンー3-オン, 17α, 20β-diOHprog)の卵表および細胞質での作用機構を解析した. まず, 17α, 20β-diOHprogの作用部位を微小注射法により解析した. 12°Cで飼育(卵黄形成を完了したキンギョの卵巣から大型卵を分離し, これらの卵に17α, 20β-diOHprogを種々濃度微小注射した. しかし, これらの卵は成熟しなかった. 一方, ホルモンを微小注射しても成熟しなかった卵を17α, 20β-diOHprog(10〜100ng/ml)を含む培養液中で培養すると8-10時間で卵成熟が誘起された. これらの結果は17α, 20β-diOHprogの作用部位が卵表面であることを示す. 次に, 17α, 20β-diOHprogが卵表に作用する結果細胞質に新しく生成される細胞質因子について検討した. キンギョの未成熟卵をin vilroで17α, 20β-diOHprog(100ng/ml)を処理することにより卵成熟を誘起させた. この成熟卵の細胞質を吸い取り, ホルモン処理をしていない未成熟卵に微小注射すると, この未成熟卵が成熟した. このことは17α, 20β-diOHprogが卵表に作用した結果, 卵細胞質内に卵成熟を促進する物質が新しく生成されたことを示す. さらにこのキンギョの成熟卵から得られた細胞質因子はヒトデの未成熟卵に微小注射すると, ヒトデの卵をも成熟されることが明らかとなり, この成熟卵中の細胞質に存在する因子は種を越えて一般的であることが推察される. これらの研究に加えて卵表に存在すると考えられる17α, 20β-diOHprog受容体について解析を進めている. これまでの結果から, 卵黄形成期のニジマス小型卵母細胞中に^3H-17α, 20β-diOHprogと弱く結合する分画が存在することが明らかとなっている. 現在, 卵原形質膜分画における結合について検討中である.
|