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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
自由表面をもつ, 半無限半導体超格子系における表面弾性波ソリトンの理論を, 伝導電子系およびバルク熱フォノンを熱浴とみなす近似のもとで, 以下の手順に従って定式化した. [参考文献:T.Sakuma etal.Plys.Reu.B33(1986)1036.] 1)超格子系として, GaAs/AlAs系を採用し, 弾性的異方性を考慮して, 表面フォノンの分散関係を求め, それがノーマルであることを示した. 2)三次の非調和項まで含めた, 表面フォノンおよび伝導電子系のハミルトニアンから出発し, 表面フォノンが散逸項を含む非線形波動方程式にしたがうことを示した. 3)上で求めた非線形波動方程式に逓減摂動法を適用し, 遠方における表面フォノン場のみたす方程式は, 散逸項を含む非線形シュレーディンガー方程式であることを示した. 4)このことより, 系に適当な外部電場を印加することにより, フォノン増幅を介して, 非調和損失等による散逸効果が補償されることを示した. このことで, 一般的な条件下での表面弾性波ソリトンの安定性が保証されることになる. 5)逆散乱法を拡張して, 散逸項をもつ非線形シュレーディンガー方程式に適用することにより, 初期値問題の近似解を求めた. 6)上で得られた近似解の妥当性をチェックするため, 散逸項をもつ非線形シュレーディンガー方程式の初期値問題をシミュレーションし, 近似解と定性的によく一致することを確認した. 今後の課題としては, 弱分散,弱非線形の場合に表面弾性波ソリトンが, KdV型方程式で記述される可能性を検討する予定である.
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