Research Abstract |
Si_3N_4, SiC, Al_2O_3などのファインセラミックスに関して, それぞれ生材, 仮焼材, 完全焼結材を各種工具で旋削し, その被削性を調査した. その結果完全焼結材については, 焼結ダイヤモンド工具を用いても切削困難なものもあり, また切削可能なものでも非常に加工能率の低い切削条件でしか加工不可能であった. 一方, 各種仮焼温度で仮焼結した被削材については, 生材より被削材の取り扱い, 被削性及び完全焼結時の収縮率などの点からかなり有利であった. またそれぞれのセラミックスで最適仮焼温度, 最適工具は異なり, 例えば, Si_3N_4では, 超硬工具及びCBN工具を用いて乾式切削した場合仮焼温度1400°C付近の仮焼材が最も被削性が良く, 特にCBN工具で最も安定した切削が可能であった. この仮焼温度による被削性の相違は被削材硬さと切屑生成機構に起因する. 特に切屑が粉状から塊状に変わると被削性が著しく良くなる傾向が見られた. 従って, 送り, 切り込みを大きくして塊状切屑を生成し易い条件にすれば被削性の改善も可能であり, 加工能率向上もはかれる. ところで湿式切削の場合には, Si_3N_4のように湿式切削後被削材が脆くなる現象を生じるものや乾式よりも湿式の方が工具寿命が短くなることもあるので, その適用には十分注意する必要がある. 次に, 実用上重要な材料強度に加工法がどのような影響を与えるか調査した. 試料としてAl_2O_3を用いて仮焼状態で切削加工し完全焼結したものと完全焼結材を機械加工(切削, 研削, ラップ加工)したものについて四点曲げ試験を行った. その結果完全焼結材では, ラップ加工品が最も強度が高く, 次いで研削加工, 切削加工の順で強度が低くなり, 仮焼材を切削加工後完全焼結したものは, この研削加工品とほぼ同程度であった. 以上のことより, 加工能率, 材料強度の観点から仮焼状態での加工は, 高能率加工する上でかなり有望と思われる.
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