Research Abstract |
クラック(き裂)の生じた弾性軸のばね特性は折れ線の形をしており, 断片線形系であるといえる. また, そのばね特性は軸とともに回転する. このようなばね特性を考慮した1個の回転体をもつ弾性回転軸系の運動方程式をたて, 計算機によって数値シミュレーションを行った. その結果, 主危険速度付近で不つりあいの方向によって共振曲線の形状が変化し, 不安定領域が発生したり消えたりする特異な現象を検出できたとともに, 主危険速度以外の共振点で, 分数調波振動, 和差調波振動などの各種の非線形強制振動を確認した. また, これらの振動の発生状態が, 水平軸と垂直軸, ジャイロ作用のある系とない系などで異なることも明らかにした. これらの振動の実機による発生を確認するため, 実験装置を作成した. その主危険速度は約1100rpmである. これをまず垂直に立て, いろいろな回転速度で運転し, 振動の発生を確認, 観察した. 現在, 主危険速度付近の現象を調べ終り, 副共振点を調べているところである. 前者では, 不つりあいの方向により様々な様式の共振曲線を得ることができ, またその内容は数値シミュレーション結果と一致することを確認した. 今後は, 副共振点付近の振動の研究, 水平軸と垂直軸との違い, などについて主に研究をすすめてゆく予定である.
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