Research Abstract |
(1)提案した鎖符号の誤りシンドロームの解明から, それらが誤りの巡回置換桁上げ剰余として表現される事を明らかとし, 新なる剰余定理を提唱した. この剰余定理は, 任意整数による剰余と, その整数ベキに対する桁上げ巡回置換剰余からなり, 多次元表現ができる. (2)誤りシンドロームの構造の対称性について検討し, 誤り訂正不能が対称性による誤り検出シンドロームの多対一対応に基因する事を明らかとした. (3)この符号の対称性には, 巡回置換桁上げによる置換操作を自由度としてもつ回転合同変換群として表現できる. (4)この回転合同変換群は, 誤りによって生じた構造をもつ集合に対する自己同型写像群であり, 2次元の場合, 2面体群の部分群となることを示し, その具体的構造を決定し, 誤り訂正能力を確定できた. (5)また一方, 鎖符号は2次元多様体(トーラス)として表現され, パリテイ検査関数はトーラス上の連続な基本サイクルで表現されることを示した. トーラスに巻き付く符号の紐は1巻き毎に不連続性をもつことが明かとなった. これは符号の対称性の破れを意味しており, 破れを補修(拡大)することにより, 完全な巡回符号となり, 中国人剰余定理に基づくギルバート符号の1つになり得ることが示された. これにより, 鎖符号は, 巡回的短縮化擬巡回符号であることが明らかにされた. (6)以上の背景から, 符号が多様体に巻き付く紐の結び目群として表現されることから, 紐び目群の異性体を作ることにより新しい符号に変換する可能性と, さらに短縮化, まびき操作などによる符号変換の可能性が示され, 符号の性能や, 符号に対する暗号化機能の付与などの可能性と解明の手法1つが明らかにされた.
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