Research Abstract |
近年, 構造全体として経済的でかつ安全なものとするため, 材料の特性をうまく生かした複合構造がよく用いれるようになってきた. 本研究で対象とした複合斜張橋では, コンクリート部材と鋼部材とが組み合わされて用いれているが, クリープの存在するコンクリート部材とクリープのない鋼部材との合成作用で, たとえ全支保工施工を行った場合でもクリープによって斜材張力が変化することが知られている. このクリープ変化による斜張橋の安全性や経済性への影響は大きく, これらのクリープ特性の差を考慮してクリープを小さくできる斜材張力をいかに決定するかが大きな問題である. さらに複合斜張橋においては, 斜材および主桁を構成するコンクリートとPC鋼材の最適分担率をいかにして決めるかという問題も存在する. 本研究はこれらの問題を歪エネルギー最小という最適性基準を導入し, 最適化を行うことにより解決を試みたものである. 本研究の結果, 次のようなことが明らかになった. 1.主桁の死荷重比は構造的に釣り合いをとって決めた値より斜材張力の影響で少し大きいところに最適解が存在する. 2.側径間中に支点を設けることで断面力を安定させることができる. この場合, 死荷重比x主桁の断面2次モーメント比の変化による最適斜材張力の変化はほとんどなく, クリープ変化量を最小化する死荷重比, 断面2次モーメント比を求めれば, それが構造全体の最適解となる. 3.主桁の断面2次モーメント比を変化させた場合, 断面2次モーメント比が10以上では, 斜材張力およ曲げてモーメントは安定する. 4.塔の剛性が主桁のクリープに影響を与え, 塔の断面2次モーメントを大きくすると, 最適な主桁の断面2次モーメント比は小さくなる傾向が認められた.
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