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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本研究はVa族高融点金属のNb及びTa中の格子間原子の挙動を転位のピニング現象を利用して内耗・弾性率の精密測定により明らかにしようとしたものであり, 1水素を殆んど含まない試料の作製及び2低温照射実験について研究を進めた. 1ではまず超高真空中直接通電法により脱炭・脱ガスを行ない残留抵抗比約5000の試料を得たがこの状態では数〜数+ppmの水素が残留しており転位の低温域での運動が強く抑制されていた. また, この水素を含む試料の低温照射後の内耗・弾性率の変化は2で述べる水素を殆んど含まない試料でのそれとかなり異なっていた. 一方, 上記の脱炭・脱ガス処理後, 試料表面にPdを蒸着し, 空気中150°Cで長時間保持することにより水素を殆んど完全に除去できた(<1ppm)のでこの試料を用いて2を進めた. 水素を除去した試料を加工するとらせん転位のキンク拡散及び非らせん転位のキンク対形成に起因する内耗ピークがそれぞれ〜40K(α1)及び〜60K(α2)に出現する. この試料を液体He温度で20MeVプロトン照射すると2-(1)Nb及びTa共に照射中に明瞭なピニング現象が観測された. 2-(1)の結果は, Nb及びTa中の格子間原子は照射温度で既に長距離移動し得ること並びに格子間原子のピニングにより極低温域での転位運動が抑制されることを示唆している. 一方, より高温域での格子間原子と転位との相互作用はNbとTaでかなり異なっていた. 2-(2)Taでは, 照射直後及びその後の昇温に伴うピニングによりα1及びα2ピークは共に強く抑えられ, この現象はMoやW等の他の高融点金属の場合にも共通して観測されている. 2-(3)Nbでは, 照射直後及びその後の昇温によりα1ピークはかなり抑制されるがその程度は2-(1)の場合より小さく, α2ピークは照射直後ではやや抑えられるがその後の昇温と共に成長傾向を示し, 特に120K昇温後は大きく成長し, α1の抑制とほぼ相補的な関係にあることが分った. 2-(3)は極めて特異な現象であり今後さらに調べる必要がある.
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