Research Abstract |
単ロール液体急冷法により, アルミニウムー遷移金属-シリコン系(Al_<77>Mn_<2θ>Si_3, Al_<74>Cr_<19>Si_7, Al_<76>Mn_<14>Ru_7Si_3)とAl-Mg-Cu系(Al_6Mg_4Cu_1)について, ほぼ100%の準結晶相からなる試料を作成することに成功した. これらの試料について, Mo-KαX線回折測定を行い, 構造因子と2体分布関数求めた. これらの実験結果と, 6次元空間から3次元実空間への射影により構築された準結晶相の原子構造モデルにおいて計算された構造因子と2体分布関数を比較し, (1)正20面体相の原子構造の骨格 (2)実際の原子配置 を追求した. その結果, アルミニウムー遷移金属-シリコン系の3つの準結晶相については, 測定により求めた構造因子, 2体分布関数が極めて類似しており, これらの原子構造がほぼ同一であるが, Al_6Mg_4Cu_1準結晶相はこれらとは構造が大きく異なることが判明した. しかし, いずれの準結晶の構造も, 射影法により作成した3次元ペンローズ・タイリングを構造の骨格とし, それを修飾する原子配置が, 3次元ペンローズ・タイリング中の12回対称性を有する頂点に位置する正20面体原子クラスターと, その隙間を埋める接着用原子によって与えられるモデルにより, よく再現されることが明らかになった. 合金系により異なるのは, 主として正20面体原子クラスターの構造である. このモデルの組成, 密度も実際の準結晶相のものと一致している. 以上の結果は, 2通の論文としてまとめられ, 現在, 印刷中である.
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