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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
1.発汗法は従来, 単純共晶系融液から析出した結晶の精製法として用いられてきた. 即ち, 晶析操作で得られた粗結晶をその融点近くに保つことで, 結晶中又は結晶表面に付着した, 主として母液に帰因する不純物を液として排出することで結晶を精製してきたものである. この精製法は, 融点近くに加熱することを前提とするが, ある種の固溶体系のように混合物の融点(液相点)が着目成分の融点より低い場合には, 発汗温度は結晶の液相点または共存する液の平衡温度とすべきである. これに従い, 〓-クロロニトロベンゼンー〓-フルオロニトロベンゼン系の発汗実験を行ったところ, 結晶及び融液の組成は, 発汗温度での平衡組成にそれぞれ共に近づくことが見出された. この時の精製機構は単純共晶系と異なり, 粗結晶を構成する直径10μm程度の微結晶粒子内の固相拡散であることが見出された. 2.この基礎研究の結果を, 分離・精製を目的とする塔型晶析装置内での固容体系の精製に適用した. 装置内の組成変化は理論段数で2〜3段となり, 結晶の滞留時間を考えると精製速度は十分に速い結果が得られた. この結果に, 基礎研究の液相内での発汗速度をあてはめるとほぼ一致したことから, 発汗操作による固溶体系の精製が実際に可能であることを示し得た. 3.一方, MNAのように融点で分解し易い物質に対しても, アセトンのような適当な溶媒中で再結晶した上で, 混合系の平衡温度近くに保つことで熟成が進行し, MNA結晶の純度が向上した. これにより得られた結晶群を単結晶育成用の高純度原料として用いた.
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