Research Abstract |
ラッカセイは地上で開花し地下で結実する特性を有する. よって, 莢実形成に対する土壌環境の影響は, 莢実に直接に作用する過程と, 根の養水分吸収を通して地上部の生育あるいは莢実に間接に作用する過程とが考えられる. そこで, 莢実が形成される結莢圏と, 根が分析する根圏とを区分して, それぞれの部位の環境ストレスが莢実形成におよぼす影響について検討した. 1.中間型品種ナカテユタカを供試して, 結実期間を対象に, 根圏環境として標肥と多肥の施肥処理および乾燥と多湿の水分処理, 結莢圏環境として乾燥と多湿の水分処理を組合せ解析した. その結果, 根圏での乾燥ストレスは, いずれの条件下でも乾物生産が大きく抑えられ, 莢実形成が阻害された. 一方, 結莢圏での乾燥ストレスは, 標肥条件下で乾物生産, 莢実形成が向上し,逆に多肥条件下でそれぞれが抑制される傾向がみられたが, 根圏での乾燥ストレスに比べてその影響は小さかった. 根圏での養分ストレス(多肥障害)は, いずれの水分条件下でも乾物生産が抑えられ, 莢実形成が阻害されたが,その場合, 乾燥条件下より多湿条件下で影響が大きくあらわれた. 2.着花・分枝習性の異なる3品種を供試して, 結実期間を対象に, 根圏環境として乾燥と多湿の水分処理, 結莢圏環境として無肥と多肥の施肥処理を組合せ解析した. その結果, 根圏での乾燥ストレスは, 1の結果と同様乾物生産および莢実形成が大きく抑えられた. しかし, 結莢圏施肥処理の影響は, 乾物生産にはあまりみられず, 莢実形成への影響も比較的小さかった. 品種間では, 乾燥ストレスはテカテユタカが受けにくく, また養分ストレスは千葉43号が受けにくく, 白油7-3が受けやすい傾向が認められた. 以上の結果から, 莢実形成におよぼす土壌環境の作用様式は, 結莢圏土壌より根圏土壌の影響の方がより大きく発現することがわかった. 今後生理的機能との関連から検討の予定である.
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